EPW_Japan

1. 拡張アメダス気象データ

EnergyPlusをはじめとして建築環境シミュレーションに必須なデータは気象データです。EnergyPlusも日本の気象データが利用出来ますが、数都市しかなくこれでは実用的なシミュレーションは不可能です。ただし、配布されているツールにはWeather Statistics and Conversionsというものがあり、EnergyPlusに同梱されるドキュメントにあるAuxiliary Programsに解説があります。

それによれば、DOE-2、ESP-r、BLASTそしてEnergyPlusで気象データを相互に変換したり、観測データを元にEnergyPlus用の気象データを作成できると記されています。

EnergyPlusのユーザーが気象庁のデータを入手し加工するのは膨大な時間やエネルギーを費やすので現実的ではありません。そこで、日本では熱環境のシミュレーション用気象データとして標準として利用されている拡張アメダス気象データを利用することにします。

拡張アメダス気象データはAMeDASのデータを建築分野で利用出来る事を目的に、本来、観測されていない気象要素を推定し、また、欠測データを補ったものです。当初は書籍にCD-ROMを添付して公開していましたが、現在はデータを購入するようになっています。

拡張アメダス気象データで利用出来る要素は外気温、絶対湿度、水平面全天日射量、大気放射量、風向、風速、降水量、日照時間、法線面直達日射量、水平面天空日射量です。EnergyPlusの気象データであるEPW形式に比べると要素の種類はかなり少なくなってます。

図1.1 EPW形式の気象データ

2. 元データの作成

 気象データは以下の気象要素から作成出来ます。そこで、以下の気象要素を拡張アメダス気象データから作成します。

1.水平面天空日射量(W/m2):四捨五入により整数化

2.外気温(℃):10倍して整数化

3.法線面直達日射量(W/m2):四捨五入により整数化

4.風速(m/s):10倍して整数化

5.風速(°):北を0°として時計回りで示す。(例:東は90°)

6.相対湿度(%):四捨五入により整数化

図1.2 作成した元となる気象データ

作成した東京の元データを示します。行は頭から年、月、日、時、水平面天空日射量、外気温、法線面直達日射量、風向、風速、相対湿度がコンマで区切られています。この行が8760で年間の元データとなります。コンマ区切りデータですから表計算ソフトで作成出来ます。ただし、余計な空白などは必要ないので何かのツール(筆者はエディターを使用します)あるいはプログラムを作成し、これを用いることで空白などを取り除いておいて下さい。拡張アメダスデータは複数年の月データを組み合わせて1年を作成していますから年は不明です。適当に年を入れて下さい。

3. 定義ファイル(def)の作成

Weather Statistics and Conversionsを使用するには重要なファイルを必要とします。これは定義ファイルで元データに何がどのような形式で書かれており、また、欠落しているデータをどう扱うかなどを記述するファイルです。上述したDOE-2の気象データを利用するにはDOE-2用に定義ファイルを作成する必要があります。以下にdefファイルを記しておきます。行の先頭にある数字は行番号で実際の定義ファイルには必要ありません。

図1.3 定義ファイルの内容

図1.3に示した内容は追っていけば問題なく分かると思います。以下に注意すべき箇所を説明します。05のInWMOに6桁の番号( 476620 )が記述されていますが、これはWMOに登録してあるStation Numberです。これは必須です。AMeDAS観測点はWMOの番号がふられていないので気象官署の番号で代用します。ブランクだとプログラムは異常終了します。

14ではデータが区切られていることを示しています。16では単位、そして、17では上述したデータを整数化する際に行った内容です。18はデータが欠落している際に用いられる数字を示しています。19はデータ区切りに用いている記号です。

基本は変換したい場所のdefファイルは図の内容をコピーして上記の箇所を含め必要な部分を修正すれば問題ないと思われます。しかし、このdefファイルに誤りがあれば変換ができないので最初から作成するのは非常に面倒な作業になります。そこで拡張アメダス842地点のdefファイルを作成したのでダウンロードして利用して下さい。現在、ダウンロードページを作成中です。

EPW形式のデータを読み込んで統計値やグラフでデータの特性を表示するCLIMATE CONSULTANT。

URL:http://www.energy-design-tools.aud.ucla.edu


© Koji Takemasa (Ph.D.) 2014