パッシブ気候図

建設する地域の気候を知ることは、設計の基本のひとつです。とりわけ、設計の初期の段階においては、気候特性の把握は不可欠であり、環境への配慮や省エネルギーの観点からも重要と考えられるようになりました。自然環境の持つポテンシャルを生かすパッシブデザインにおいてはデザインコンセプト形成に役立つ気候データが望まれます。V.オルゲーは著書「DESIGN WITH CLIMATE」(プリンストン大学1963)において、年間の月別、時間別の気温、相対湿度、日射量、風向風速を、それぞれ1枚の等高線図で示す方法を提案しました。これによって、各気候要素の変化の傾向や同時発生の状況を見ることができるようになりました。

筆者らは、1982年に我が国におけるこの図の作成を試み、「パッシブ気候特性図」と名付けました。各地の図を作成し、相互を比較をすることによって、その有用性を確かめました。その後、気象データの整備は格段に進み、アメダスのような形で容易に入手できるようになってきました。世界各地においても同様な気候データの整備が進んでいます。また、そのような膨大なデータを処理してグラフ化する技術も各段に進歩してきました。

1. パッシブ気候図の作成方法

等値線の作成はハワイ大学を中心にメインテナンスが行われているGMTというソフトウェアを使用しました。

赤坂ら(赤坂他:拡張アメダス気象データ、丸善株式会社、2000年1月)によって開発された拡張アメダス気象データの気温、水平面全天日射量、相対湿度、風向・風速についてフォーマットは旧パッシブ気候図に準じ縦軸は時刻変化、横軸は月変化として作成しました

等値図作成には年間の外周のデータを挿入し等値線か連続するように考慮しています。等値線に記入されている数字がその等値線の値です。気温、日射量、相対湿度、風速につてはそれぞれ2℃、50W/㎡、5%、0.2m/sおきに等値線は描いてあります。

カラーマッフは気温、日射量、相対湿度、風速のそれぞれ1℃、1%、25W/㎡、0.1m/s毎に定義しています。風速は5m/sを超える部分のカラーパレットを用意していないため、風速が5m/sを超える時間帯は色が抜け落ち白く表示されます。これは、5m/s未満の風速域の変化を容易に知るためです。ただし、等値線は5m/sを超えても表示されます。風向は等値線図の中に矢印で表されています。表示の間隔は月毎、1時間おきです。矢印の向きが風向を示しています。図の上が北を示しています。矢印は頻度が30%を超す風向のみを示し、30%未満では風向は存在しないものとしています。30%を超える頻度が2つ以上の方向にあるときは複数の矢印が表示されています。拡張アメダス842地点のパッシブ気候図を作成しました。

図1.1 東京:外気温(℃)

図1.2 東京:水平面全天日射量(W/m2)

図1.3 東京: 相対湿度(%)

図1.4 東京: 風向・風速(m/s)

作成したパッシブ気候図はデータの2次使用に該当し配布ができません。書籍での配布に関しては内諾を得ていますが、現状では出版をしていただける出版社がないのが現実です。「一般社団法人 環境共生住宅推進協議会」より市販可能か協議中です。

EPW形式で公開されている気象データをもとに作成した世界のパッシブ気候図の閲覧、ダウンロード可能です。ただし、使用される場合はLEAD Labo.作成というクレジットをお願いいたします。また、参考文献に、小玉、武政、宮岡、松元「設計支援のためのパッシブ気候図の作成と活用」2014年度日本建築学会大会学術講演梗概集、を記して下さい。


© Koji Takemasa (Ph.D.) 2014